労働者のための信頼性が高くて利用しやすいユニオン(労組)が必要

イギリスで初めて労働者の権利を認めた工場法ができてから200年近く経つのに、未だに労働者の権利は十分に守られていない。むしろそんな状態はヨーロッパよりも日本のほうが顕著かもしれない。

現代の日本では19世紀のイギリスの労働者たちのように、朝早くから夜遅くまで奴隷のような労働を強いられ、「ブラック企業」という言葉が一般的に使われるようになった。英語圏では過労死が「Karoshi」として辞書に載り、日本独特の労働問題とされている。

どうしてこんな状況がいつまでも続くんだろうか? おいちゃん、ちょっと考えてみた。

労働組合の組織率の低さと機能不全に問題あり

本来の雇用契約は、求職者(労働者)と企業(使用者)が「対等な立場」で結ぶことが原則。でも、実際には対等な立場なんかじゃないのは、学生だって知っているよね。

求職者はすぐにでも働かないと生活できないから、条件に多少の不満があっても妥協せざるを得ない。それに対して企業は何人もの応募者の中から気に入った人材をゆっくり選ぶことができる。

また、履歴書は手書きで書くとか職務経歴書をつけるとか、求職者は面接を受ける前から大きな労力を強いられる。履歴書に貼る写真代だってバカにならないしね。

そんな苦労を乗り越えて、ようやく採用されても安泰とは限らない。契約した覚えのない仕事をさせられたり、無給で休日出勤など、次々に不測の事態が襲ってくる。

それがイヤなら別の仕事を探せばいいけど、次の職場でもまた同じような目に遭う確率は高い。

こんなふうに、日本の労働者は基本的に弱い立場に置かれている。

というより、ずっと弱い状況に放置されたまま。

その原因には労働組合が少なかったり、じゅうぶんに機能していないことがある。

大企業には一応、労働組合があるけれど、ちゃんと労働者の権利を守らせたりしているのか疑わしい。しかも消費税率アップに賛成とか、労働者の暮らしを圧迫するようなことまでしている。

こんなふうに、誰もが知っている大企業ですら過労死が後を絶たないくらいなんだから、小規模な事業所だと、なおさら労働者は理不尽な扱われ方をさせられることが多い。そして労働者の多くは、立場の弱さから我慢を強いられる。

権利回復の労力の大きさと、ペナルティーの低さ

理不尽な扱いを受けたときは労働基準監督署に行って相談する方法があるけど、実際に労基署まで足を運ぶ人は少ない。労基署っていうだけでも、なんだか敷居が高く感じるんだよね。

それでも労基署には相談者が後を絶たず、監督官は膨大な案件に追われている。そして残念なことに、労基署が介入しても問題が解決するとは限らない。

おいちゃんも昔、不当解雇されて労基署に相談したことがあったんだけど、経営者がノラリクラリで埒が明かない。

2か月くらい経っても一向に事態が進まないから労基署を見限って、自分で未払い給与と残業代を請求する訴訟を起こしたことがある。結局そのほうが早かったんだけど、労基署への相談から裁判で和解が成立するまで1年近くかかってしまった。

この時に不当解雇されたのは、おいちゃんの他にも2人いたけど、彼らはそのまま泣き寝入りした。

彼らをだらしないと非難するのは簡単だけど、実際に会社と争うとなれば時間も労力もかかり過ぎる。それを考えると、さっさと諦めて再就職先を探すのもムリはない。

でも、それじゃあ、いつまで経っても悪質な経営者は後を絶たない。

労働問題は労働者が自分で労基署への相談や裁判というアクションを起こして会社と戦わなければならない。でも、解決までには長い時間やお金がかかり、そのあいだ大きなストレスも抱え続けることになる。

それに裁判は平日しか行われないから、そのたびに新しく就いた職場に休ませてもらうことも難しいよね。だから、おいちゃんはケリがつくまでの1年間、コンビニで夜勤のアルバイトをして凌いでいた。

裁判といっても弁護士を雇える金額でもなかったから、提出する書類は全部おいちゃんがパソコンで作った。

今でも覚えているけど、コンビニのアルバイトが休みだった冬の夜。一人で黙々と次の裁判に提出する書類を作っているうちに日付が変わって、おいちゃんの誕生日を迎えた。なんか、そのときのスッゲーわびしさったらなかったね。

ま、そんなことはとにかく、これじゃあ労働問題を解決するために、労働者側の負担が余りにも大き過ぎるよね。もっと手軽で気軽に相談から解決までサポートしてくれる仕組みがないと、いつまで経っても労働者の権利はないがしろにされたままだ。

今は弁護士だって余るほどいるんだから、彼らを労働問題解決のために活用することだって考えられる。

労働者の権利を踏みにじった企業や使用者には多額の罰金を支払わせるようにすれば、弁護士費用だって賄えるだろう。サラ金の過払い金返還訴訟やC型肝炎訴訟のように、確実に勝てる裁判なら弁護士は喜んでやるから、彼らのビジネスチャンスにもなる。

社会の基本はお互いに約束を守ることで成り立っているんだから、その信頼を裏切れば社会そのものが成り立たなくなる。だから詐欺だって罪が重い。

使用者が労働者との契約を裏切ることも詐欺と同じことなのに、悪質な使用者は詐欺師よりもたくさんいて、今日ものうのうとしている。

そんな犯罪者と言ってもいい悪質な使用者から権利を取り戻したり償わせるために、どうして被害者である労働者が大きな負担を抱えないといけないんだろう?

悪質な使用者が追及されにくい仕組みは、日本の労働者をいつまでも弱くて不安定な位置に縛りつづける。そんな労働者一人ひとりの不安や不満が、社会全体を殺伐としたものにしているんじゃないだろうか?

クレーマーとか、モンスターペアレントとか、煽り運転とか、世の中が妙にギスギスしているのも、もしかすると、そうした不安や不満も原因の一つかもしれない。「一億総中流」だった昭和の時代は、もっと世の中にゆるさとか大らかさがあったよね。

国も「働き方改革」と言うなら、もっと思い切った施策をしなけりゃ「改革」なんて言えない。このままじゃ、日本の労働者は弱い立場が続くだけじゃなく、近い将来は移民と仕事を奪い合うようになって、ますます企業や使用者に都合のいい労働環境になってしまう。

そうさせないためには、労使のトラブルを気軽に相談できて信頼性のある新しい労働組合を作って増やす必要があるんじゃないかって、おいちゃんは思う。

したっけね!