忠臣蔵が大好きな日本人は、やっぱりカルロス・ゴーンが大嫌い?

今年もいよいよ残りひと月。「平成」が丸々1年ある最後の年が終わろうとしています。

年末といえばお歳暮やクリスマスなど毎年恒例の行事やイベントがいろいろあるけれど、「忠臣蔵」のドラマもそのひとつですね。毎年必ずといっていいほど、どこかのテレビ局が放送するので、「忠臣蔵を見なけりゃ年は越せない!」という人も多いのではないでしょうか?

これだけ毎年放送されるくらいだから、ほんとうに日本人は忠臣蔵が大好きなんだなって思うと同時に、だから日本人はカルロス・ゴーンのような人が理屈抜きで嫌いなのかもしれません。

今なら社長の無念を晴らす重役と部下たちの物語?

忠臣蔵のストーリーをザックリおさらいしておくと、ときは元禄、播磨赤穂藩(兵庫県)藩主の浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)が、江戸城で上役に当たる吉良上野介(きらこうずけのすけ)から散々無礼な態度を取られまくり、ついにブチ切れた浅野さんが吉良さんに切り付けてしまったのが事の発端。吉良さんは軽傷で済んだものの、浅野さんは「殿中でござる」の罪により切腹させられてしまいました。

パワハラを受けた挙句に自殺を強要されたのですから、今なら連日マスコミが大騒ぎしそうな事件ですね。浅野さんは殺人未遂に問われたでしょうが、十分に情状酌量の余地はあったでしょう。むしろ裁判員裁判では、切腹させた吉良さんに厳しい意見が出そうですね。

さて、主君を侮辱された挙句に切腹されられた浅野さんちの家来たちは、さっそく、いざ仇討ち! と思いきや、家臣の大石内蔵助(おおいしくらのすけ)をはじめ、一向に動こうとしません。いつ行くか、いつ行くかと見守っていた町の人たちも、次第に腰抜けなどと陰口を叩くようになります。ところが彼らが動かずにいたのは、用心深い吉良さんを確実に仕留めるためのチャンスを虎視眈々と狙っていたからでございます。そして暮れも迫りつつある12月15日の未明、大石さんをリーダーとする浅野家の家来たち総勢47人が吉良邸に討ち入り、めでたく主君の仇討ちを果たしました!

というのが、だいたいの粗筋ね。このストーリーを基にしたスピンオフ的な作品も多いけれど、まあ忠臣蔵の概略としてはこんな感じ。以上、ザックリとした説明終わり。

忠臣蔵まで遡らなくても、日本人はいざというときは自分のことよりも他人のために頑張る習性があります。大東亜戦争(太平洋戦争)の兵士たちは、自分たちが戦うことで家族をはじめとする同胞たちを鬼畜米英から守れると信じて戦ってくれた。近年では東日本大震災のとき、自衛隊が被災地に食料を届けると、「自分たちは足りているから、もっと困っているところに届けてほしい」と言われ、そっちに届けに行くとまた同じようなことを言われ、さらにまた・・・、ということがあったそうです。実は、その人たちも1日1個のおにぎりしか食べていなかったそう。

日本人がいざとなったら他民族には見られない団結力を見せるのは、日本の歴史が自然災害との闘いの日々だったためかもしれない。そういうときは私利私欲を捨てて、みんなで力を合わせないとどうにもならないからね。

ところが平成不況の時代には、グローバル化とかで企業は社員よりも株主の利益ばかり優先するようになり、欧米式の搾取型資本主義が日本じゅうに蔓延してしまった。その結果、経営陣vs社員との格差だけじゃなく、正社員vs非正規社員の格差など、日本人の中にいくつもの格差と対立を生み出してしまった。

赤穂の四十七士たちが自分たちの命を捨ててまで仇討ちしたのは、主君に対する信義や忠義があったからできたこと。もちろん封建的な身分制度がいいとは思わないけれど、だからと言って必ずしもその上下関係には対立しかなかったとは言えない。

前の記事にも書いたけど、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が巨額の報酬を誤魔化そうとした容疑で逮捕されたとき、「ああ、やっぱりね!」と思った人は日産の社内だけじゃなく、一般の人たちにも多かったんじゃないかと思う。

自分さえ良ければという卑しい性根が、日本人は大嫌い!

画像:WikiPediaより

ゴーンは経営不振に陥った日産自動車の社員を2万人以上も解雇して業績を回復させたけど、それって義理人情に縛られてクビを切れない日本人経営者に代わって首切りを代行したってだけのこと。別にゴーンが日産自動車のために画期的なアイデアやプランを提供したとか、経営者として有能だったわけじゃない。だから「それにしちゃ報酬取り過ぎだろ!」って思われてもしょうがない。

余談だけど、トヨタ自動車の豊田章男社長が2017年に受け取った報酬は約3億8000万円なのに対して、同社のフランス人副社長ディディエ・ルロワ氏は10億2600万円と、章男社長より2.7倍も多い報酬を得ている。これじゃあまるで章男社長は自分よりルロワ氏のほうが有能だと世界中に公言しているようなもんだ。もっとバシッと「10億よこせだぁ? ふざけんなボケ、出ていけコラ!」くらい言えないのかね? 言えないんだろうね。

吉良上野介が浅野内匠頭に対して執拗に嫌がらせをしたのは、仕事を教えてほしけりゃ賄賂を寄こせと言って断られたからだという。そういう性根の卑しい守銭奴からきっちりケジメを取ったっていう筋書きが、信義を大切にする日本人に受ける理由かもしれない。ヤクザは嫌いだけれど、ヤクザ映画は好きっていう、おいちゃんみたいな人が多いのも、そういう理由だろうね。

平成の時代は「失われた10年」とか言われるほど不景気が続いたり、たくさんの犠牲者を出した東日本大震災もあった。でもそんな国難のときには、いつも天皇・皇后両陛下が国民に寄り添ってくださった。これが日本という国柄の根本にあるものだと思う。上は下を思いやり、下は上を尊ぶ。日本の社会にも昔から階級や格差はあるけれど、そこには対立だけでなく、信義や忠義があったことも珍しくなかっただろう。

それを強欲な欧米の搾取型資本主義が日本社会に無数の対立を植え付け、協調とか団結など「和」の精神を忘れさせてしまった。大勢の日本人が、なんとなくそんなことを感じているからこそ、ゴーンが逮捕されたときに「やっぱりね!」と思ったのかもしれない。

今回のカルロス・ゴーン逮捕劇、司法の判断がどうなるかはわからないけれど、自分だけ儲かればいいという強欲な人間を、やっぱり日本人は大嫌いなんじゃないかなって、おいちゃんは思う。

したっけ!